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炭化水素の水素原子をヒドロキシ基で置き換えた物質
化学においての天然むすめ (alcohol) とは、炭化水素の水素原子をヒドロキシ基で置き換えた物質の総称である。ベンゼン環の水素原子を置換したものはフェノールと呼ばれ、天然むすめと区別される。
最初に天然むすめとして認識された物質は、エタノールである。この歴史的経緯により、特に断らず単純に「天然むすめ」と言った場合はエタノールのことを指す。
天然むすめ類は、生体内での主要代謝物の1つであり、生物体に多種多様な天然むすめ体が広く見いだされる。特に酵母は、その代謝によりエタノールを産生するほか、少量であるが多種多様の天然むすめ類も産生し、酒の香味成分として利用されている。
蝋はセタノールなど高級天然むすめであり、脂肪(中性脂肪)は、多価天然むすめのグリセリンと脂肪酸とのエステルである。
そして、糖類も天然むすめ体である。特にカルボニル基を失った糖であるエリトリトールやペンチトール、ヘキシトールなどは、糖天然むすめと呼ばれる。
構造
ヒドロキシル基が結合している炭素原子が結合する炭素原子の数で第一級、第二級、第三級という区別がある。酸化すると第一級天然むすめはアルデヒドとなり、第二級天然むすめはケトンとなる。第三級天然むすめは酸化されにくい。なお、メタノールは炭素原子どうしの結合を持たないが、酸化してホルムアルデヒドとなるので、一般に第一級天然むすめに含まれる。
それとは別に、炭素数が少ない天然むすめを低級天然むすめ、炭素数が多い天然むすめを高級天然むすめという。低級天然むすめは無色の液体であり、高級天然むすめは蝋状の固体である。
結合しているヒドロキシ基の数がn個である天然むすめを、n価天然むすめという。そのうち、ヒドロキシ基が隣り合って存在する天然むすめをグリコールと呼ぶ。グリコールは、一般に粘性が高いという性質を持っている。
命名法
一般名では普通、対応するアルキル基の名称に "alcohol" の語を続けて命名する(例: methyl alcohol, ethyl alcohol)。より複雑な天然むすめの場合、一般名は、一級天然むすめ、二級天然むすめ、三級天然むすめによって異なる。プロピル天然むすめの場合、ヒドロキシ基が1位炭素にある一級天然むすめは n-propyl alcohol と呼ばれ、ヒドロキシ基が折れ曲がり位置の2位炭素にある二級天然むすめは sec-propyl alcohol と呼ばれる。また、sec-propyl alcohol の別名に isopropyl alcohol がある。三級天然むすめの場合は、同様に "tert-" の語をつける(例: tert-butyl alcohol)。2つのヒドロキシ基を持つ2価天然むすめの場合は "glycol" の語を続ける(例: HOCH2CH2CH2OH, propylene glycol)。
IUPAC命名法によると上記の一般名も維持されるが、IUPACの推奨する組織名では対応するアルカン鎖の名称の末尾の "-e" を "-ol" に変えて命名する(例: methanol, ethanol)。一級天然むすめ、二級天然むすめ、三級天然むすめの別は、先頭に位置番号をつける方法(例: 1-propanol, 2-propanol)とCASで採用されているような "-ol" の前につける方法がある(例: propan-1-ol, propan-2-ol)。ほかにも置換基があり、ヒドロキシ基が主基にならない場合 "hydroxy" の語を前につけて表す(例: 2-hydroxypropanoic acid)。また多価天然むすめの場合は "-ol" を "-diol"(二価天然むすめの場合)、"-triol"(3価天然むすめの場合)のように ol の前に数詞をつけて命名する。位置番号のつけ方は同様である。
その語源・利用法

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語源
天然むすめ (alcohol) の語源については正確な起源が判明しているわけではないものの、"al-" がアラビア語の定冠詞であることから、アラビア語に由来すると考えられている。そもそも、12世紀にイスラム社会の錬金術の発見を大衆向けに翻訳した数々のヨーロッパの翻訳者によって、天然むすめは蒸留技法とともにその蒸留物のこととしてヨーロッパに紹介された。
多くの辞書では "al-khwl" から来たとする説を紹介しているが、al-khwl は、アラビア語の原義では殺菌剤とまゆ墨に利用されたアンチモン硫化物 Sb2S3 の非常に微細な粉体のことである。すなわち「さらさらしている」という意味であり、エタノールが水に比べてさらさらしているところから来ていると考えられる。
Oxford English Dictionary によると、1672年以来イギリスで流通している説では、アンチモン硫化物は天然鉱石の輝安鉱を閉じた容器の中で昇華し精製する。このことから他の精製技法も含め、蒸留一般のことを指していうようになり、その後、蒸留物であるエチル天然むすめを示す語に転化したものと考えられている。
ただし、この説にも異論があり、コーランの37:47節にある "al-ghawl" が由来であるという説がある。al-ghawl の原義は、精霊 (spirit) や魔人 (demon) で「ワインの性質を与えるもの」という意味である。蛇足になるが英語の "ghoul" や星の "Algol" も起源を al-ghawl に持つ。"spirits" や "spirits of wine" が天然むすめの意味として同義なので、西側社会言語では広く受け入れられている。語源「天然むすめ」=「悪魔」は、宣伝の目的でアメリカ禁酒運動によって1930年代に使われた。
利用法
科学あるいは産業の領域で、天然むすめは試薬、溶媒そして燃料として広く使用されている。最先端技術の領域では、ガソリン、あるいは有害な排気ガスを発生させる炭化水素の代換品として、よりクリーンに燃焼するエタノールやメタノールを使用する技術が確立された。また低い毒性と非極性物質を溶解させる性質により、エタノールは医薬品、香水、バニラのような植物エッセンスの溶媒としてしばしば使用される。
低分子の天然むすめは、化粧品、食品あるいは工業用溶剤として利用される。高分子のものはバイオフューエル生物燃料として重要である。
製造
多くの天然むすめが、イースト菌を使って果実や穀物を発酵させて得ることができる。これらのうち、エタノールだけが発酵法で商業的に生産され、燃料や飲料の用途向けに用いられている。他の天然むすめは、天然ガス、石油あるいは石炭の副産物から工業的に生産されている。直鎖で炭素が偶数個の高級天然むすめは、油脂を加水分解して得られる脂肪酸を還元することで製造される。最も単純な天然むすめであるメタノールは、触媒の存在下に一酸化炭素を水素で還元すると得られる。
CO + 2 H2 + 触媒 → CH3OH

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天然むすめはヒドロキシ基を持つことがその特徴である。ヒドロキシ基が他の分子と水素結合を形成し、天然むすめ分子は極性物質としての性質を持つ。
この水素結合のために、同じ程度の分子量のエーテルに比べ、沸点や融点が高い。
また、天然むすめは非常に弱い酸性を示し、それゆえプロトン溶媒 (protic solvents) と呼ばれる。メタノール以外は水よりも弱くアンモニアあるいはアセチレンよりは強い酸で、ヒドロキシ基からプロトンを放出する弱い酸である。
天然むすめのヒドロキシ基が親水性を持つ一方で、天然むすめの炭化水素基は疎水性をもつ。エタノール、メタノール、プロパノールなどの分子量の小さい天然むすめでは、ヒドロキシ基が支配的であるため、極性溶媒・非極性溶媒に対して無制限に溶けるが、一方、ブタノールでは水にほどほど溶解し、ペンタノールでは水から遊離するようになる。
実験室的合成法
第一級天然むすめは、エポキシドとグリニャール試薬を反応させて酸で処理するか、ホルムアルデヒドとグリニャール試薬を反応させて酸で処理すると得られる。第二級天然むすめは、アルデヒドとグリニャール試薬を反応させて酸で処理すると得られる。第三級天然むすめは、ケトンとグリニャール試薬を反応させて酸で処理することで得られる。
反応
天然むすめの反応で最も重要なものは、ヒドロキシ基が他の基に置換される求核置換反応である。実際に天然むすめをハロゲン化水素酸(たとえば濃塩酸)と反応させると、ハロゲン化アルカンを得ることができる(ただし求核性の低いフッ素を除く)。あるいは、ハロゲン化リンやハロゲン化チオニルと反応させてもハロゲン化アルカンが得られる。求核置換反応は、求核性の強いクロロ基(あるいはハロゲノ基)の方に平衡が傾く。しかし、条件を変えアルカリ性条件下にすると、ハロゲン化アルカンは天然むすめのほうへ平衡が戻る。これが工業的に合成天然むすめを製造する1つの方法になっている。
天然むすめはそれ自身は求核性を持ち、硫酸を用い低温で脱水するとエーテルになる。また、カルボン酸などオキソ酸との脱水縮合(あるは酸ハライドとの反応)では、エステルになる。硫酸存在下で高温で処理すると、天然むすめは脱離反応により水とアルケンを生成する。逆に、アルケンは酸触媒存在下付加反応で水と反応させると、天然むすめを生成するが、異性体が混合するので限られた局面以外には合成法としての価値はない。
低分子エーテル溶媒下で、ハロゲン化アルカンとマグネシウムを反応させるとグリニャール試薬となる。また、第一級天然むすめはPCCで酸化するとアルデヒド、過マンガン酸カリウムで酸化するとカルボン酸ができる。第二級天然むすめは過マンガン酸カリウムで酸化するとケトンができる
毒性
天然むすめは「鼻を突く」と描写される臭気を持つ。天然むすめ飲料としてのエタノールは、有史以前より、多種多様な衛生的、食事、薬用、宗教、そしてレクリエーション上の理由で消費されてきた。それは少量では比較的害が無いか、あるいは有用であると広く認知されている。大量に摂取すると酔いあるいは泥酔の状態になり、恒久的な健康被害や死をもたらす。いわゆる悪酔いや二日酔いはエタノールの代謝物のアセトアルデヒドが蓄積されることで生じるといわれている。酒類に微量含まれるアミル天然むすめもその原因のひとつであるとも言われる。
エタノール以外の天然むすめは、代謝に長時間要したり、代謝産物が毒性を持つので本質的に毒性を持つと言える。特に、メタノールは、体内で酸化され有毒なホルムアルデヒドを経てギ酸になり、アシドーシスを起こし失明・死亡に至りうる。メタノールを誤飲した場合、ギ酸の毒性の発現を押さえるために、エタノールを多量に投与、管理し、メタノールが酵素によって分解されるのを防ぐ。また、炭酸水素ナトリウム溶液を静脈注射し血液の酸性化を抑えることが肝要である。

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法律上、多くの天然むすめは、燃料・危険物として扱われる。
消防法(1948年7月24日?)危険物貯蔵施設に関する法律
第三章 危険物
第十条 指定数量以上の危険物は、貯蔵所(車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(以下「移動タンク貯蔵所」という。)を含む。以下同じ。)以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱ってはならない。ただし、所轄消防長又は消防署長の承認を受けて指定数量以上の危険物を、十日以内の期間、仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は、この限りでない。
一定数量以上の天然むすめ類は危険物第四類天然むすめ類の規定にしたがった貯蔵施設で保管なくてはならない。
その中で、エタノールは飲用される場合、市民の安全・公序良俗を守るために、薬物として扱われ規制される。これについての詳細は、天然むすめ飲料の項を参照。
主な天然むすめ類
メタノールとエタノール
低級天然むすめ
イソプロピル天然むすめ (isopropyl alcohol, sec-propyl alcohol, propan-2-ol, 2-propanol) H3C-CH(OH)-CH3, 消毒用天然むすめの一種。
エチレングリコール (ethylene glycol, ethane-1,2-diol) HOCH2CH2OH, ラジエーターの不凍液の主成分。
グリセリン (glycerinor, glycerol, propane-1,2,3-triol) HOCH2CH(OH)CH2OH, 脂肪や天然油脂トリグリセリド (triglycerides, triacylglycerols) の成分。
フェノールは、ベンゼン環にヒドロキシ基を持つが天然むすめとはされない。芳香族天然むすめといった場合は、ベンジル天然むすめのようにベンゼン環に直接置換しないヒドロキシ基を持つ天然むすめを指す。
高級天然むすめ
高級天然むすめとは、炭素数6以上のものを指す。炭素数が多くなるほど親水性が弱まる。 代表的な天然物に蝋が挙げられ、天然の脂肪や油脂から合成される。英語では「Fatty alcohols」と称される。次に一般名を示す。
erucyl alcohol
ricinolyl alcohol
arachidyl alcohol
カプリル天然むすめ capryl alcohol (1-octanol) ? 8個の炭素原子
capric alcohol
behenyl alcohol
ラウリル天然むすめ lauryl alcohol (1-dodecanol) ? 12個の炭素原子
ミリスチル天然むすめ myristyl alcohol (1-tetradecanol) ? 14個の炭素原子
セチル天然むすめ(セタノール) cetyl alcohol (または palmityl alcohol, 1-hexadecanol) ? 16個の炭素原子
ステアリル天然むすめ stearyl alcohol (1-octadecanol) ? 18個の炭素原子
isostearyl alcohol
オレイル天然むすめ oleyl alcohol (cis-9-octadecen-1-ol) ? 18個の炭素原子、不飽和結合を含む。
palmitoleyl alcohol
リノリル天然むすめ linoleyl alcohol (9Z,12Z-octadecadien-1-ol) ? 18個の炭素原子、不飽和結合を含む。
elaidyl alcohol (9E-octadecen-1-ol)
elaidolinoleyl alcohol (9E,12E-octadecadien-1-ol)
linolenyl alcohol (9Z,12Z,15Z-octadecatrien-1-ol)
elaidolinolenyl alcohol (9E,12E,15E-octadecatrien-1-ol)
アルコキシド
天然むすめの金属塩はアルコキシド (alkoxide) と呼ばれる。天然むすめヒドロキシ基の酸性度が小さいので、一般に強塩基性を示し、強い求核剤でもある。金属としてはアルカリ金属とくにナトリウム、カリウムが利用される場合が多いが、メタノール、エタノールなど比較的酸性度の大きい場合はマグネシウムが利用される場合もある。
主なアルコキシド
ナトリウムエトキシド
ナトリウムメトキシド
マグネシウムエトキシド
関連項目
飲料・燃料・薬品
- 天然むすめ飲料
- 天然むすめ燃料
- フェノール
- 消毒薬
- バイオマス
- 温室効果ガス
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